
小・中・高校における成績評価の方法を見直す方針が示されました。
これまで各教科で「5」などの数値評価をつける際に考慮されていた「主体的に学習に取り組む態度」については、今後は点数に直接反映させず、所見欄で文章による評価を行う形式に変更する案です。
この見直しにより、学校ごとに作成される通知表の内容も変化する可能性があります。
(※2025年7月5日 朝日新聞の記事を参考に要約しています。)
成績評価の仕組みに見直し案。「学ぶ姿勢」は数値化しない方向へ
文部科学省は4日、中央教育審議会(文部科学大臣の諮問機関)の特別部会において、新たな評価方法の案を提示しました。
現在の制度では、各教科ごとに「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の3つの観点について、それぞれ3段階で評価を行っています。
そして、それらの結果をもとに「評定」と呼ばれる成績が決まります。
一般的には、小学校では3段階評価、中学校と高校では5段階評価が用いられています。
学ぶ姿勢の評価に限界あり、教師からも見直しを歓迎する声
「主体的に学習に取り組む態度」は、客観的な判断が難しい評価項目とされており、実際のところノートの提出状況や授業中の挙手の回数を基準にする教員も少なくありません。
東京都内の中学校に勤務する48歳の教員も、挙手の頻度を評価の根拠として生徒に説明してきたそうです。
その結果、内申点が高校入試に影響することを意識した生徒たちが、3年生になると積極的に手を挙げるようになったといいます。
教員は「自分がそうさせてしまったと思うと、複雑な気持ちが残った」と話し、今回の新たな評価方法に対して前向きな姿勢を示しています。
「学ぶ姿勢」の記録方法が変わる可能性、評価は文章で補足へ
文部科学省は、「主体的に学習に取り組む態度」について、成績に直接加点せず、所見欄に記述する形で評価する案を示しました。
特に優れている場合には「○」などの記号を使い、成績判断の補足資料とする方針です。
この案は、学校が作成・保管することが義務付けられている「指導要録」への記録が前提となっています。
これとは異なり、「通知表」は各学校が独自に作成するものですが、評価の内容は基本的に共通しているため、通知表の記載方法にも変更が及ぶ可能性があります。
今回の見直し案は、2030年度に予定されている学習指導要領の改訂にあわせて導入される見通しです。
通知表を見直し、成績評価の頻度減で柔軟な学びを推進
文部科学省は、成績を記録する回数を減らす新たな案も提示しました。
現在は学期ごとに通知表で成績を示すのが一般的ですが、これを学年末のみにすることで、教員の負担を軽減しつつ、子どもたちの1年間の成長をより柔軟に捉えて評価できるとしています。
評価の回数を減らす一方で、日々の授業や学習内容を振り返る取り組みを充実させることが重要であるとも述べています。
ただし、学年の途中での習熟度が把握しにくくなる可能性や、中学3年生にとっては高校入試に必要な2学期までの成績が求められるといった課題も指摘されています。
今後、こうした点を含めて詳細な検討が続けられます。
