教育虐待にならないために

教育虐待にならないために

最近「教育虐待」関連のニュースが多く取り上げられるようになってきました。
親が子どもに将来を期待し、しっかり勉強していい学校に入って欲しい、と思うのは自然なことですが、子どもの能力や意思を尊重せず、親の希望だけを押し付けると「教育虐待」となります。

教育虐待としつけの違い

「教育虐待」について具体的な定義はされておらず、「しつけ」と具体的にどう違うのかという線引きはされていません。
しかし、虐待としつけの大きな違いは、子どもを自分とは違う「一人の人間としてとして尊重しているかどうか」という点で分けて考えることができます。

虐待:子どもの意思や人格を尊重せず、自分の感情のままに子どもをコントロールしようとするような状況
しつけ:子どもの意思や人格を尊重した上で、教育的観点からよりよい方向へ教え、導く状況

教育虐待がおこる背景

教育虐待は、高学歴または教職についている親に多いようです。
両者は、ご自身の経験から勉強することの大切さを良く知っているため、子どもにも同じように、またはそれ以上の成功者になって欲しいと思うようです。
そのため自分と同じかそれ以上の勉強を強いてしまい、その結果子どもを追い詰めてしまうのです。

1.自分の経験や考えが絶対だ
2.子どもは何も知らないので親の意見に従う必要がある。
3.テストの成績だけで子どもを評価する

上記の考えをひとつでも持って子どもに接してしていると、自尊心を否定され続けた子どもは、
うつや引きこもり、暴力行為や破壊行動に走るなど、後から取り返しのつかない心の傷を与えることが分かっています。

子どもは自分とは違う一人の人間だと認める

ご自身が学生のころに勉強をした結果、いい成績を取って、大学に入れたとしても、子どもに同じ状況は当てはまりません。
そもそも学習環境やシステムが違いますし、向いている勉強方法も同じではないでしょう。
よって、ご自身の経験則で子どもの勉強に口出しすべきではありません。

子どもが自分がこれからどうしていきたいのか、それを実現するためにどうしていくといいのか、子どもが考えて決断したことに対して、保護者はそっと見守り、必要ならいつでも相談に乗るし、協力するよ、だから後悔のないように頑張れ!
そんな風に子どもの一番の理解者だ、ということを示すだけでいいのです。

自分にはいつも見守ってくれる人がいる、その安心感だけで、子どもは自分の力で道を切り開いて前に進んでいけます。
たとえ、その先が成功でなかったとしても、自分の決めたことだからと後悔もしないでしょう。
そのときはまた、一緒に新たな道を探せばいいのです。

子どもに少しでもいい学校に入って欲しいと思うのは親心かもしれませんが、それは本当に子どものためなのか、
単に自分の虚栄心をみたすだけの手段になっていないか、いまいちど振り返って見ると良いでしょう。