いい子がひきこもりになるとき

いい子がひきこもりになるとき

内閣府が2019年3月に発表した数値によると、全国の中高年のひきこもりは61万人、15~39歳は推計54万とされていますので、それを上回る数となっています。
またひきこもり期間は7年以上が半数を占め、7割が男性とのことです。

中高年ひきこもりの背景

中高年の引きこもりの場合は、最初の就職でのつまずきや退職がきっかけで引きこもりになったケースが多く、いわゆる就職氷河期世代の就職難による就職のつまずき、または就職できたとしても劣悪な環境の会社(つまりブラック会社)に勤めることしかできず、心身ともに疲弊してしまったというものです。

これらは、当時働き世代だった若者を切り捨て、非正規雇用などを推進した社会問題と深くかかわっており、一概に家庭や本人の問題と切り捨てられることではありません。
政府は最近になってこの問題に取り組み、40代以上の雇用推進などを打ち立てましたが、長年に渡ってひきこもった40代の方の就職はそう簡単なことではないでしょう。
対策をするならばせめて10年前だったように思います。

中高年とは異なる若年層のひきこもり

若年層の引きこもりの場合は、いじめ問題などの人間関係で引きこもる場合と、勉強についていけなくなったなど、受験をきっかけに引きこもるケースが多くなっています。
現在の子どもの親世代は、子どもの人数が多くいかに良い学校に入って、いい会社に就職するかといういわゆる「勝ち組教育」を受けて育ってきた人たちです。
その中で勝ち上がり、現在のステータスを掴んだ親は子どもにも同様の道を歩んで欲しいと、幼いころからの幼児教育に熱心な方が多いようです。

幼児のころは親のことを良く聞いて、さらに成績優秀、将来有望だと期待をかけた子が、突然何かのきっかけで引きこもりになることは珍しいことではありません。

背景には、上記のケースの場合、親の過度な期待が子どもにプレッシャーをかけていることにより、何かひとつでも親の期待に外れるような結果があった時、
子どもは嘘をつくことから始まって、自分は期待に応えられないダメな人間だと思うようになり、結果何かに挑戦することさえ恐れるようになってしまうのです。

本当の「勝ち組」とは

いい学校に入ってそこからストレートにいい会社に入る、確かに理想とする人生コースではあります。もしお子さんがその通りになったとしても、そのために心を病んだり健康を害したりするのでは、幸せとは決して言えないでしょう。
子どもには自分の長所を生かし、自分で人生を切り開いて幸せを掴める大人になって欲しい、親ならば本当の願いはそこにあるはずです。
いい学校とか会社といったことはほんの一部の選択肢の一つであり、それだけが人生の生きる道ではありません。

人生にはもっと広い選択肢が合って、気持ちとやる気ひとつでどこでも挑戦できる、どの道を選んでも親はいつでも最大の応援をしてくれる。そう信じられる親子関係を創り上げることができた方こそ「勝ち組」と言えるでしょう。