公立学校教員採用試験 3倍割れ

公立学校教員採用試験 3倍割れ
学校の先生と言えば、子どもたちにとって身近な存在であり、将来なりたい職業でも上位にランクインする人気の職業ですが、その先生を志す学生が年々減ってきており、教育の質の低下が懸念されています。

先生のなり手が減っているという深刻な事実

文部科学省が昨年末に公表した、2018年度公立学校教員採用試験の実施状況によると、全国の小学校の競争率は2.8倍で過去最低の数字となりました。
こちらは平均値のため、地方はもっと低い数値となり、2倍を切る地方もあるとのこと。

教員の採用担当者によると、優秀な教員を採用するには競争率3倍は維持しておく必要があるとのことですが、すでに全国的にその基準を切っている状態となります。

小学校教師のタスクが重すぎる

公立学校教員採用試験の競争率は2.8倍ですが、中学校は5.7倍、高校は6.9倍となっています。教科別でそもそも募集が少ないために倍率も高くなっているのですが、小学校と比べると倍以上の差があります。
小学校教師の就職が不人気である背景は、中学校、高校に比べて、小学生教師のタスクの多さが上げられるでしょう。
全教科対応に、最近強化された英語教育やプログラミング教育の対応、指導が難しい子どもたちの対応、そしてモンスターペアレンツの存在など小学生講師の状況は年々厳しいものになっており、心身の健康を害して教師を辞める方も少なくありません。

優秀な教育者を育てるために

2019年に国立の教員養成大学や学部を卒業した人で、大学院などの進学などを除くと、教員に就職する割合は約66%とのこと。
残りの34%は民間企業などに就職しており、年々民間企業への就職の人気が高まっているそうです。
現状では残念ながら、教師になりたくて入学したにも関わらず、教育の現場を知れば知るほど、教師になることを避ける傾向が高いことがあげられています。

教師を志して教育を学んだ方が、教師の仕事に魅力と夢を持って就職し、そして働き続けるには、教育の現場の働き方改革が不可欠です。
例えば、小学校でも中学校、高校のように教科別担当にする、外部講師の招聘、ICTの導入による事務業務負担の軽減などです。
優秀な教員を確保することが、子どもたちの未来を左右し、ひいては国の未来も左右することになります。
そのため、社会全体がこの問題に対して真剣に考え、取り組んでいくべきでしょう。