通級指導教室に携わる学校教諭の現状

「通級」は発達障害のある子どもたちが学ぶ場であり、通常のクラスとは別に少人数の授業を受けます。現在、全国で18万人以上の子どもが「通級」を受けており、過去最多となっています。しかし、教員不足のため、1人の教員が担当する児童数が国の基準を超えるケースが相次いでおり、この問題が課題となっています。教諭の現状をみていきましょう。

通級(通級指導)とは

「通級」とは、発達障害などにより読み書きや対人関係に苦労する児童・生徒が通常の学級に在籍しながら、一部の授業を別の学校や別の教室で受けるプログラムです。

通級では、国語や算数などの科目の学習ではなく、児童・生徒が困難さを克服し自立するための「自立活動」を重視しています。

各児童・生徒に合わせたカリキュラムが作成され、教員との個別または少人数(通常1対1か4~5人)での授業が行われます。

通級は特別支援学級とは異なり、すべての授業を通常学級とは別の部屋で受ける点が特徴です。

担当児童数の増加によりなくなる指導の余裕

現場の教員たちは、「年度初めから20人近い児童を担当するのが当たり前」とか、「1人で16人の子どもを見なければならず、限界だ」と不満を述べています。

通級では、国の配置基準が13人であり、東京都ではより手厚い基準の12人です。

発達障害の診断を受けた子どもの保護者が通級を希望する場合や、クラスの担任が通級利用を勧める場合には、学校や専門家の判定委員会で年度途中に通級指導が認められることがあります。

しかし、担当する児童数が増えると、丁寧な指導が難しくなるのです。

教員は限られた空き時間を使って児童のクラスの様子を見回ることがありますが、質の高い指導を行うためには、児童たちの日常のクラスでの様子を確認し、課題を把握する時間が必要になります。

しかしながら、児童の数が増えると、授業の空き時間が減少し、見回りの時間を制限せざるを得なくなるため、どうしても一人ひとりへの指導の質が落ちてしまうでしょう。

このような制約に直面することは、教員たちにとって心苦しい状況です。

教員の人手不足も影響

通級指導教室の教員不足が子どもたちにも影響を与えています。

東京都によると、通級利用の児童数を基準に教員配置を行っていますが、増加する児童数に対応するのは難しいとのことです。

その結果、通級を必要とする児童たちの希望を叶えることができない状況が生じています。

通級で自立支援が受けられず、クラスに馴染めないまま助けを求める子どもたちや保護者がまだまだたくさんいるのです。