乳児健診での発達障害の気付き

乳児健診での発達障害の気付き

現状では、発達障害とされている子の割合は100人に7人程度と言われています。
*文部科学省平成24年度調査より
今回は、乳児健診でのチェック項目や発達障害の種類についてご説明いたします。

健常児童と明確な区分があるわけではない

発達障害とは知的な遅れはないが、脳の発達に偏りがあるのが特徴であり、生まれつきの脳の問題であって、ある日突然病気のように発生するようなものではありません。
また、発達障害と診断がつく子と、そうでない子との間には明確な区分はなく、いわゆるグレーゾーンと呼ばれる子もいて、
障害があるとは診断されなくとも、育てにくさや何かしらの発達上の問題を持っている子もいます。
そのため、障害をもっているか、いないかという判断は1歳6ヶ月の時の乳幼児健診の時を利用して専門医の判断を仰ぐと良いでしょう。

1歳6ヶ月健診で分かること

なぜ、1歳6ヶ月健診で発達障害の判断が可能かと言うと、子どもが1歳以上になれば、対人関係などの社会性の基礎がある程度芽生える時期であり、コミュニケーションの関係も、親から友達や保育士の先生と広がり、また自分と物を通して、道具の使い方など様々なことを学んでいく時期だからです。

1歳6ヶ月でだいたいの子ができるとされるアイコンタクトや模倣、指差しといった発達項目が日常的に見られないならば、何かしらの発達の遅れをもつと判断されます。

例えば人の視線の方向に気付き、相手と同じものに注意を向けることで、同じ気持ちを共有するという「共同注視」ですが、自閉症の子どもはこの人の視線に気づくことが難しく、10歳以降でやっと気づくことができるとされています。

発達障害の区分

一言で発達障害といっても、その特性に合わせて様々な種類に分類されています。

1.注意欠陥多動性障害(ADHD)

不注意、多動性、衝動性の3つの特長があるとされる障害です。
これらの特長から、「1つのことを集中して行うことが難しい」「気が散りやすい」「落ち着きがなくじっとしていられない」といった点がみられます。

2.アスペルガー症候群・高機能自閉症

これらは両方とも自閉症スペクトラム症の中に包括される障害です。
いわゆる「空気を読めない」ことが多く、相手の表情からしぐさなどから気持ちを読み取ることが困難です。
また、決まったルーティーンを好む傾向があり、新しいことや環境に強い抵抗があるのも特長です。

3.発達性協調運動障害(DCD)

発達性協調運動障害(DCD)は乳児のころから「寝返りが上手くできない」「ハイハイがなかなかできない」などの兆候が出始めます。
そして、幼児になることには「ハサミなどの道具が上手く使えない」「靴ひもがうまく結べない」「つまずくものがないのによく転ぶ」など様々な状況で障害が現れます。
DCDを持つ子どもは6~10%と高く、他のADHDやLDと併存することも多いようです。

4.学習障害(LD)

学習障害とは、知的な遅れがないものの、「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算・推論する」能力に困難が生じる発達障害のことです。
また、LDの中でも読字障害(ディスレクシア)、書字障害(ディスグラフィア)、算数障害(ディスカリキュリア)の3つに分類されています。
これらの障害は乳幼児の時点で見つけることは難しく、小学生に上がって授業を受けるようになってから発覚することが多いようです。

発達の特性の理解が大切

発達障害があると診断されたら、まずはその障害がもつ特性を理解することが必要です。本人は頑張っているのに、一番大切な人から理解されないことほど子どもが傷つくことはありません。
そして専門医へ、日々の生活の中でどのような援助が必要かということを相談し、実践しましょう。

子どもの持つ良さを最大に生かして、安心して生活できる環境を整えることが重要です。
できるだけ早期に対応できることが、障害からくる二次障害に結びつくことを防ぐことができます。
お一人で悩まず、様々な専門機関を利用して必要なサポートを受けるようにしてくださいね。