改正児童虐待防止法成立 2020年4月に施行

改正児童虐待防止法成立 2020年4月に施行

最近、児童虐待のニュースが多く取り上げられるようになりました。
厚生労働省が発表したデータによると、平成29年度の全国児童相談所における児童虐待相談対応件数は、速報値として13万3778件(前年度比1万1203件増)となっています。

増え続ける虐待件数

虐待の内容では、「心理的虐待」が7万2197件と最も多く、次に身体的虐待が3万3223件、ネグレクト(養育の放棄・怠慢)が2万6818件、性的虐待が1540件です。
※「心理的虐待」とは子どもの前で配偶者に対して暴力を振るうなど、子どもに心理的にストレスをかける虐待のことです。

※出典:厚生労働省報告書

また、虐待による死亡件数では、平成28年度の虐待による死亡人数(心中以外)は48人で、死亡した子どもの年齢は0歳児が32人と最も多くなっています。

※出典:厚生労働省報告書

統計を取り始めた平成2年から増加の一途をたどっていますが、昔に虐待がなかったわけではありません。
昔の子育てでは虐待とみなされなかったものが、国民全体の児童の権利の意識の高まりとともに、通報件数も多くなった結果でもあります。

児童虐待防止法改正の背景

この度の児童虐待防止法では、虐待に関与した親や親族の虐待の理由が「しつけのつもりだった」と供述しているケースが多いことから、親権者や里親、児童福祉施設長が子どもをしつける際の体罰禁止を明確にしました。
ただし、子を戒めることを認める民法の「懲戒権」のあり方については、施行後2年をめどに検討するとしています。

また、最近のニュースで教育機関や児童相談所の不手際が目立ったことから、
子どもの安全確保に関しては、児童相談所の一時保護など「介入」を担当する職員と、
保護者の相談など「支援」を担当する職員を分け、
家庭への介入機能を強化することや、担当児童が転居後も切れ目のない支援を続けるため、
児相や関係機関の間での情報共有の強化などが改正のポイントとなっています。

法整備や児童相談所の人材確保も大切なことですが、札幌で起きた池田詩梨(ことり)ちゃんの虐待死の経緯のように、子どもを守るべき相談員の意識が低くては、やはり同じようなことが起きてしまいます。

地域社会、法的機関、教育機関、福祉機関の連携とそこで働く方の「絶対にこどもを守る」という高い意識を持つことが重要ではないでしょうか。