子どもの貧困問題のためにできること

ご存じの方も多いと思いますが、近年、世界の中でもいわゆる先進国であるはずの我が国で「子どもの貧困」が問題となっています。
学校給食だけがまともな食事の子や、経済的に進学をあきらめなければならない子など、生まれた環境によって当たり前の日常を送れない子どもたちがいるのです。
そんな問題に国やNPO団体が行っている取り組みや、個人レベルでできる支援などについてご案内します。

子どもの貧困とは

「貧困」という言葉から、家や食べ物といった必要最低限の生活水準に満たないことを想像するかもしれませんが、ここでいう貧困とは、国内の大多数の世帯に比べて貧しい状態のことを指します。
たとえば、以下のような状態です。

・必要な食糧が買えないため、給食以外で満足に食べることができない。
・支払いができないため、医療機関を受診することができない。
・子どもだけで過ごす時間が多く、衛生知識や生活習慣が身につかない。
・年に1度でも美術館や博物館、スポーツ観戦などに行ける余裕がない。
・学習机や落ち着いて勉強できる空間がない。
・人とのつながりが少なく、社会的に孤立している。

厚生労働省によると、日本では17歳以下の13.5%が貧困状態にあるのだそう。つまりは、7人に1人の子どもが、健やかに成長するための生活環境や教育機会が確保されていない、ということを意味します。
数字だけを見ると多く感じますが、多くの大人は実感が湧かないはず。というのも、貧困状態にある当の子どもとその親たちに自覚がないため支援を求めるケースが少なく、また自覚があっても周りの目を気にして支援を求めません。
そのため、子どもの貧困は見えにくい社会問題だと言われています。

 

将来への影響

子どもの貧困は、彼らの将来にたくさんの影響をおよぼします。
親の収入が少ないことで、進学をあきらめなければいけなかったり、就職のチャンスが乏しくなったりすることがあります。すると、その子は大人になってからも収入の確保が難しくなり、さらに孫の代にまで連鎖が起こりかねません。
ただでさえ少子化の時代に、これは大きな社会的損失だといえるでしょう。
社会全体で貧困の連鎖を断ち切り、子どもたちの未来を応援してあげる必要があるのです。

 

政府による対策

子どもの貧困問題を家庭だけの責任とせず、社会全体で解決するために、行政や企業、NPOなどが協力してさまざまな対策を進めています。
日本政府はおもに以下の4つを柱として、費用の軽減や相談窓口の設置などから支援しています。

●教育の支援
幼少期から高等教育まで教育費の負担を軽減

●保護者の就労支援
ひとり親などの就労、学び直しや職業訓練を支援

●生活の支援
親の妊娠期から暮らしの課題・悩みを解決

●経済的な支援
生活費や進学等に必要な支出を支援

 

一人ひとりができることを

前述したように、子どもの貧困は見えにくい問題です。
そこで政府は、2015年より「こどもの未来応援国民運動」と題して、支援したい人や企業と子どもたちを支えるNPO団体などを結び付けて支援の輪を広げる活動を行っています。
寄付を通じて支援団体を支える「こどもの未来応援基金」や、子どもたちにモノや体験を届ける「マッチングネットワーク推進協議会」を通じて、個人レベルでも、子どもの貧困対策に協力することが可能です。
WEBサイトからはもちろん、街中のお店やイベント会場に設置された募金箱から募金したり、本やおもちゃといった不用品を送付で寄付したりなど、支援方法もさまざま。
一人ひとりが無理なく、できる範囲で、子どもたちを支援してあげましょう。