就学状況がわからない外国人の子どもたち

外国人の店員さんをお店で見かけることも珍しくなくなった昨今。

慣れない海外で一生懸命日本語と日本の文化を勉強して仕事をしている方を本当に尊敬します。

そんな中、外国人の子どもたちが小学校や中学校に通えていない現実があることをご存知でしょうか。

「不就学」かもしれない外国人の子どもの数が文科省の調査でわかりました。

不就学の子どもが8000人以上

文部科学省の調査によると、小中学校に通えていない可能性がある外国人の子どもの数が全国で8000人以上に登るとのことです。

文部科学省では、4年前から全国の自治体の教育委員会を通して外国人の子どもたちの就学状況を調査しています。

新型コロナウイルス感染症の影響で1回行われませんでしたが、今回で3回目。

2022年5月の住民基本台帳に登録されている小中学生の年齢に当たる外国人の子どもたちは13万6923人でした。

そのうち学校に通えていない、もしくは通えているかどうかわからない子どもが合わせて8183人いたのです。

これは全体の6%にあたり、2021年の調査と比べると1800人ほど減っている状況です。

対策を練る自治体が増加

外国人の子どもの両親は、日本語の読み書きができないということもあります。

書類などを読むこともできず、自治体の職員の話も理解することができません。

そんな中、子どもの方が日本語を吸収し、両親に説明するという「ことばのヤングケアラー」が出てくることも。

そこから対策を行う自治体も増えてきています。

小学校にあがるまえの子どもたちが受けられる健康診断の案内を複数の言語で配ったり、保育施設での巡回相談で支援が必要な家庭を把握したり、切れ目のない支援を行うために入学予定の小学校につなげたりといった対策です。

今後も国をあげての支援が必要

今回の調査で文部科学省は、「一定程度、自治体による就学状況の把握は進んできたものの、依然として多くの子どもが学べていない状況を重く受け止めている。無償で学校に行けることに保護者が気づいていないケースも多いので情報がしっかりと届くよう取り組みを進めてもらいたい」としています。

その支援や制度がどういったものなのか、保護者が理解できていないと、日本育ちの外国人の子どもたちが教育を受けられないという状況が生まれてしまうのです。

そういった義務教育を享受できなかった子どもたちが成長するとどうなるかを考えると由々しき事態ということが見えてくるでしょう。

住民基本台帳に登録されていない外国人がいないことが前提なので、恐ろしいことにこれは氷山の一角なのかもしれません。

保育の業務効率化を図るための保育ICTシステムの中にも多言語に対応しているものがあります。

保育施設にそういったものを導入していくことも支援につながるのではないでしょうか。