新生児マススクリーニング検査、2難病が公費負担へ

生まれた赤ちゃんに先天性のまれな病気がないかを調べる「新生児マススクリーニング検査」をご存じですか?
こども家庭庁はこの度、2つの新たな難病について、公費で実施する方針を決めました。
現在、自治体によって実施状況に差があり、それを改善する狙いもあります。
準備の整った自治体から順次スタートさせて、将来的には全国一律で検査ができる体制を目指しているそうです。
(※2023年11月22日(水)朝日新聞朝刊を参考にしています)

新たに対象となる2つの難病とは

今回新た対象となるのは以下です。
・SMA:脊髄性筋委縮症(せきずいせいきんいしゅくしょう)
・SCID:重症複合免疫不全症(じゅうしょうふくごうめんえきふぜんしょう)
どちらも10万人当たり1~2人の患者がいるとされています。
SMAは進行性で、筋力の低下が起きる病気。SCIDは生まれつき免疫の機能がうまく働かず、感染症にかかりやすいとされています。
どちらの難病も、1歳までに亡くなってしまうことが多いそうですが、ここ数年で治療法が大きく進歩したことで、早期に発見する重要性が叫ばれていました。
自治体によっては独自に検査を導入しているところもあるそうです。しかし、検査体制や治療体制が整わず導入できない自治体もあり、格差が指摘されていたとのことです。

補正予算に10億円を計上

こども家庭庁は2023年度の補正予算に10億円を計上しました。これで各自治体が検査を導入しやすいように働きかけるそうです。
検査を導入済の自治体でも、数千円から1万円ほどの自己負担が生じており、何かとお金がかかる子育てへの支援になることを望みます。

新生児マススクリーニング検査とは?

赤ちゃんの血液を採取して調べます。命にかかわるようなまれな病気が対象で、現在20種類ほどあるそうです。
同庁は各自治体に通知し、検査の実施を呼びかけています。
しかし実施状況には差があるのが現状。理由として、検査の法的な位置づけがあいまいなこともあるそうです。
そのため、同庁は法令に位置付けることも検討しつつ、全国で一律で導入するための検査精度や、検査後に難病が判明した場合の治療を含めた体制について、今後さらなる研究を進めるそうです。

今回公費負担対象にならなかった難病もある

代謝異常のひとつとされる「ライソゾ-ム病」は、酵素を補充する治療法がある程度確立されているため、公費負担の対象とするように求める声が挙がっていたそうですが、今回は残念ながら対象にならなかったとのこと。
同庁は、全ての難病で治療の優先度が高いことは承知しており、まずは今回の2種から始める、としています。
今後さらに公費負担で検査できる範囲が増えるといいですね。