10人に1人や13人に1人と言われている特別な配慮が必要な子どもたち。
障がいやLGBTQなどで生きづらさを感じている子やこれから生きづらさを感じていくことが予想される子など、1人ひとりの個性の違いを認め、尊重し、全てを包み込む保育の実現を目指す保育がインクルーシブ保育と言われています。
どのような魅力があるのでしょうか。
インクルーシブ保育とは
インクルーシブ(inclusive)とは、「包括的な」「すべてを含んだ」という意味を持っています。
障がいがあろうとなかろうと、性自認の食い違いがあろうとなかろうと、すべてを含んだ包括的な保育を実現することを目的としているのがインクルーシブ保育です。
保育現場では子どもたち1人ひとりの違いを踏まえて、それぞれのあり方を認め合う保育と捉えています。
従来の保育やインテグレーション保育・教育との違い
従来の多くの保育現場では、障がいの有無でクラスや環境が分けられていました。
現在では、障がいの有無で入園を断られたケースなどがあればたちまちニュースで取りあげられるでしょう。
保護者の方の多くが「普通学級」「特別学級」と分断された環境で過ごされた経験があるでしょう。
現在も分けられていないわけではありませんが、そういった異なる学級の間で積極的な交流が図られています。
それが「インテグレーション保育・教育」です。
健常者と障がい者が交流を図る点をみると一見「インクルーシブ保育」と似ているように見えます。
しかし、前提として配慮が必要な子であるという区別がされており、インテグレーション(統合)をする機会が設けられているというところが違っています。
インクルーシブ保育の魅力
インクルーシブ保育には子どもたち1人ひとりの個性を大切にするという目的があります。そのうえで子どもたちが享受する魅力があるのです。
個人の違いを体感的に認識できる
日常的に障がいがある子、ない子、どちらも友達として出会えます。
それが当たり前の環境を与えられるので、1人ひとり「違いがある」ということを体感として知ることができるでしょう。
同じ体験をしながら、必要なサポートについても早くからお互いに知ることができるので、それぞれの違いを察知して自分から成長につなげていくことができます。
自分の思う「普通」とは違う考え方、価値観とぶつかることもあるでしょう。
それは保護者の方や親戚、地域の方々や進学先の学校で対峙することもでてきます。
そのときに「人はそれぞれに違いがあることが当たり前」である柔軟な考え方をもつきっかけになり、受容する人格形成に役立つでしょう。
その後の人生において相手を尊重できる感受性豊かな人に育つことが期待できます。
偏見や差別がない思いやりを学べる
インクルーシブ保育で、本当の意味での思いやりのある子を育てられるでしょう。
障がいの有無などに関係なく、子どもたちがお互いを受け入れることを目的としているため、子どもたちが偏見や差別につながる思い込みをいだきにくいためです。
自分が与えられたことを元に、相手に必要なサポートを考え、お互いにすごしやすくするためにはどうしたらいいのかを自然と考えられるようになるため、相手のことを本当に思った行動を取れるようになるのです。
保護者の方も意識せずにこれまでの人生におけるさまざまな経験や知識から差別や偏見が根付いてしまっているでしょうから、お子さんに与える影響を考えてインクルーシブ保育について考えて見ることがお子さんのためになります。
必要であれば、保育士資格をもつベビーシッターを依頼したときに話を聞いてみるのもよいですね。