「多様化の時代に合わせたインクルーシブ保育とは」でインクルーシブ保育がどういったものか、その魅力についてお伝えしました。
今回は保育士にとってのインクルーシブ保育についてご紹介します。
子どもたちだけでなく保育士にとってもインクルーシブ保育に取り組む上でメリットがあるのです。
インクルーシブ保育の保育士にとってのメリット
インクルーシブ保育とは、障がいのあるなし関係なく、子どもたちがそれぞれの違いをお互いに受けいられることを目的とした保育です。
それによって偏見や差別がない、本当の思いやりと多角的視点をもった子を育てることができます。
では保育士にとってのインクルーシブ保育の魅力はなんでしょうか。
あらゆる経験が積める
障がいのあるなしに関わらず、さまざまな子どもたちと向き合う機会が増えます。
その家庭で保育士自身もあらゆる経験を積むことができるでしょう。
固執した考え方では多角的な見方はできません。
ときには一筋縄でいかないこともでてくるでしょう。
しかし、その時の臨機応変で柔軟な対応力やより高い保育スキルを身につけられるのではないでしょうか。
将来的にステップアップできるスキルが身につく
さまざまなお子さんがいるので、療育や医療的ケアなど医療分野につながる知識を深められる機会もできるでしょう。
必要に応じてケアの資格を取得するなどの形として残るスキルアップも可能です。
また、お子さんの障がいの有無に関わらず、さまざまな保護者への対応もインクルーシブ保育を取り入れているからこそ違う心配りが必要になってきます。
通常保育とは違う保護者対応や前述の医療に関する知識や資格は将来に役立つでしょう。
魅力だけではないインクルーシブ保育の課題
今後ますます取り組む保育施設や学校が増えていくことが考えられている「インクルーシブ保育」。
しかし、課題もあります。十分な知識がなければ導入することは難しいでしょう。
障がいの有無に関係がないデリケートな問題
その子の持って生まれた個性とはいえ、障がいの有無はやはりデリケートな問題になります。
インクルーシブ保育であると謳っていても、フォローがしっかりできなければ、お子さんや保護者の方が安心して登園することができません。
それどころか劣等感を与えてしまったり、集団保育に影響が出たりすることに繋がりかねないのです。
フォロー体制が十分でなければ特定の保育士が障がいのある子につきっきりという状態になることも。常に人手不足である保育業界にあって、その状態は危険です。
十分な保育が行き届かなくなりますし、子どもや保護者によっては「あの子ばかりずるい」という印象を持つこともあるでしょう。
勉強すること・理解を求めることに時間がかかる
お互いの違いを認め合うことがインクルーシブ保育の目的です。
とはいえ保育士、保護者を含め十分な理解を求めるまでには時間がかかるでしょう。
専門スキルや知識が必要ですから資格を撮ったり講習を受けたりする勉強も保育士には必要となります。
それも受動的ではなく自ら学ぶ能動的な意識が必要です。
前例も限られているので実践の中で課題を解決しなければいけないため時間もかかるでしょう。
職員同士で連携を取り合い、保護者、子どもの対応を進めていく必要がありながら、通常保育も行わなければならないため難しいところがあります。