小学館「幼稚園」本物志向すぎる付録が話題

公衆電話、自動改札機、信号機……。これらは全て、子ども向けの雑誌に付属しているおもちゃとなっています。細部にわたって「本物」にこだわった作りが特徴で、多くの人々からの人気を集めております。出版社の狙いとしては――。
(※2024年3月12日(火)朝日新聞夕刊の記事を参考に要約しています。)

子どもたちへ伝える「公衆電話」の大切さ―小学館とNTT東日本の特別コラボ

小学館が発行する雑誌「幼稚園」(1,000円から1,400円程度)の2月29日に発売された4・5月号には、NTT東日本とのコラボレーションによる特別な付録が同梱されております。それは、「公衆電話」というテーマで、紙製でありながらも見た目は本物そっくりの「こうしゅうでんわ」です。この紙の公衆電話には、紙製の「テレホンカード」や「10円玉」を挿入できる機能があり、お金の返却口や「SOS」のダイヤル案内が記載されており、子どもたちが遊びながらその使い方を学べるようになっています。
このプロジェクトのきっかけは、NTT東日本からの「公衆電話を子どもたちに知ってほしい」という依頼でした。携帯電話やスマートフォンの普及により、公衆電話は今や街中でほとんど目にすることがなくなり、存在自体を知らない子どもたちが増えています。しかし、地震などの災害時には、電波状況が悪化しても役立つ可能性があるため、「いざという時に使えるように」という思いで、このコラボレーションが実現しました。
小学館幼児誌編集室の今村祐太さんは、「親世代であっても、公衆電話の使い方を知らなかったり、忘れてしまっている人がいる。親子で一緒に、遊びを通じてこれらを学んでほしい」との願いを語っています。

知識と楽しさを融合させた「本物志向」の付録の世界

創刊から90年以上の長い歴史を持つ雑誌ですが、企業とのコラボレーションにより「本物志向」の付録を提供し始めたのは2018年からでございます。これまでに、セブン銀行のATM、くら寿司のお寿司コンベヤー、セブンティーンアイスの自動販売機、JR東日本メカトロニクスの自動改札機など、様々な付録が大きな人気を集めてまいりました。

「子どもたちには、触りたいけれど触れないものや、触ると怒られてしまうようなものが多くあります。そういったものの仕組みや『なぜ』を理解し、学べるような付録にこだわっています」と、担当者の今村さんは述べております。また、今村さんは「現代の子どもたちは、よりリアルな体験を求めており、それが喜ばれる」ともお話ししています。

子どもたちの好奇心を刺激する「すぐに遊べる」付録の世界

講談社から発行されている子ども向け雑誌「げんき」(1,000円から1,500円程度)は、これまでに歩行者・自転車専用の信号機と歩行者用押しボタンが付いた「信号機」や、ボタンを押すと4種類の動物の声が出る「バスブザー」を付録として提供してきました。これらの付録は全てプラスチック製で、組み立てが簡単であることが特徴です。

同社子ども事業部の岡本朋子さんは、「対象年齢が3歳までということで、子どもたちがすぐに遊べるような付録を意識している」と語ります。また、昨年7月には「信号機」が付録の「げんき」を購入できなかった読者からの要望に応えて、ムック本「のりものリアルBOOK ホンモノそっくり!光る!リアルサウンド信号機」(税込み1,650円)を発売しました。「とおりゃんせ」など4種類のメロディーに加え、「ピヨピヨ」や「青になりました」といった効果音を追加し、より本物に近づけた内容で、ほぼ在庫が尽きるほどの人気を博しています。