2021年に入り、「こども庁」という言葉をニュースで耳にするようになりました。
今回は少子化問題を解決する一役を担う可能性もあり、私たちが子どもを安心して産み育てられる社会の実現を目指すためと言われる「子ども庁」について、その目的と求められる効果などを調べてみました。
●「こども庁」の目的
「子ども庁」の大きな目的は縦割り行政の解消です。
子ども関連の施策となる「こども庁」は、文部科学省・厚生労働省・内閣府の3府省にまたがる縦割り行政を一元化することで、この縦割り行政の制度の狭間で抜け落ちる(救われない)子どもがいないように、迅速で確実な対応を実現することが大きな目的の一つと言われています。
●現在の子どもに関連する省庁の役割
現状の子どもに関連する省庁の役割はどのようになっているのでしょうか。
下記3府省が主ですが、ただ実際にはほかにも警察庁や法務省、経済産業省なども関連しています。
具体的な3府省の役割は下記の通りとなります。
これらが統合し「こども庁」として専任大臣を置き、他省庁への勧告権も付与しようとしているのです。
●子ども庁に求められること
・子どもの「命」を守る体制の強化
児童虐待、自殺、いじめ、妊産婦の産後うつ、育児に関する不安・問題を解決・サポートする制度の構築など
・妊娠前・妊娠期からの継続支援の充実
ひとり親家庭の支援、貧困、仕事との両立支援、ヤングケアラー、定期的な検診の推進、不妊治療の支援など
・子の成長を社会で守るための環境整備
子ども食堂、母子手帳のデータ共通化、学校検診など、利用しやすく、子どものための施設や制度の充実
・子ども目線での切れ目のない教育と健康の実現
子育ての窓口の一元化、難病を抱える子どもへの支援、教育格差、教育費の問題に対応など
・子どもを安心して育てられる社会環境の整備
幼稚園・保育園、ベビーシッター、障がい者支援施設などの充実
●「こども庁」発足までのスケジュール
求められることが多く、関係省庁の間の調整も必要により、当初は2022年度の創設を目指していたが、先送りとなり、2023年度以降になることが先月に判明しました。
2021年9月に有識者会議が立ち上がり、11月に骨子案が政府に報告され、2021年末までには「こども庁」の在り方に関する基本方針が策定されるようで。来年度の通常国会にて関連法案の成立を目指すことになるそうです。
●最後に
安心して子どもを産み育てられる環境の構築は、私たちひとりひとりにも決して関係ないことではありません。最近ニュースで児童虐待により、幼い子どもが命を落とすニュースを目にすることが多く、その度に救う手段はなかったのかと思います。そもそも「子ども庁」の設置を提言するきっかけになったのは、そうした制度の狭間で漏れてしまい助からない子どもが今後出ないようにするためとのことでした。私たちも「子ども庁」の理解を深めその実現を見届けたいと思います。