コロナ禍でGIGAスクール構想が大きく進み、いち早く対面とオンラインを合わせたハイブリッド型授業を取り入れた自治体は、感染症対策を見越した賢い道をとったと評価されました。
しかし蓋を明けてみると小中学生への一人一台のコンピューターが配備され、ハード面はクリアしたものの、その内容、ソフト面に課題があることが見えてきました。
ハイブリッド型授業本格始動にネックとなったもの
アクセス集中
2021年7月末には小中学生1人に1台のコンピューターがほぼ配備されたことが文部科学省の調査でわかっています。
そして、その児童・生徒が授業が始まると同時に各端末からアクセスしたため、大規模なアクセス障害が発生しました。
インターネット回線と教育機関向けプラットフォームがアクセス集中に絶えられなかったのです。
そうでなくとも自宅のネット環境に難がある生徒は諦めて登校して対面授業を受けるという状況になりました。
教職員のスキル
肝心の授業の質や教員のスキルに問題があったと指摘するのは保護者です。
朝の会や帰りの会くらいであればなんとかなったものの、対面での授業に比べるとカメラワークを含め短い期間でオンライン授業の準備も進めなければならない教職員には難しかったのでしょう。
いち早く取り入れた自治体の公立小中学校の狭小員からは、「ハイブリッド授業の準備に2日の猶予しか与えられなかった」と自治体の教育長あてに抗議文や質問状が送られているほどです。
矢面に立たされる教職員のことも児童・保護者のことも考えられていない机上の空論といえる準備期間だったと言えます。
端末利用して授業が受けられない
同様に文科省の調査による「平常時の端末の持ち帰り学習の実施状況」は、実施している学校が4分の1ほどでした。
学校が休業になった場合に端末を持ち帰り、家庭で授業を受けられる体制が整っていないことがわかります。
端末を持ち帰っての宿題・課題の提出も夏休みや冬休みなどの長期休暇中と年数回。
また、公立の小中学校における学習者用デジタル教科書の整備率は、わずか6.3%で端末活用のネックになっています。
まとめ
教科書の整備やICT活用指導力の向上がソフト面の大きな課題でしょう。
教科書が整備されれば端末とノートなどを持ち帰るだけで宿題、課題、予習、復習ができ、ランドセルが重いと身体の不調を訴えるお子さんも減るのではないでしょうか。
コロナ禍の3年で教職員の研修などを増やし、教科書の改定などに合わせて端末への移行も行われていますが、まだまだ保護者や児童、生徒が目に見えて端末を自宅で使うというところまできていないため、これからが期待されます。